みなさんこんばんは。
どうしてもAngenieuxというメーカーのレンズを知っていただきたいだらだらくまです。
今回ご紹介したいと思っているのはAngenieux(アンジェニュー)のRetroFocus 35mm F2.5 Type R1というレンズです。Angenieuxのレンズだからこそのすばらしい写りとAngenieux自体のすごさもおはなししていきたいと思います。
読みやすいようにアンジェニュー表記でおはなししていきたいと思います。
アンジェニューはフランスのPierre Angenieux(ピエール・アンジェニュー)という人がフランスに作った光学機器メーカーです。
一般にはあまり知られていませんが今ではムービーの世界ではとても歴史のあるメーカーです。
1950年代にフィルムカメラ時代のレンズも作成していて今回ご紹介のRetroFocus 35mm F2.5 Type R1ものそのひとつです。
Angenieux RetroFocus 35mm F2.5 Type R1
レンズ前面 大きな凹レンズ(凹メニスカスレンズ)が配置されています
フランス製のレンズです
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RetroFocus 35mm F2.5 Type R1
1950年代のレンズで35mm F2.5の広角レンズになります。
今でこそ35mmというのは普通の焦点距離ですが当時では焦点距離の短さからレンズ後端がミラーへの干渉などの問題がありました。
アンジェニューはこの問題を独自のレンズ設計を用いることで解決しました。次の項目でおはなししますがレンズ名にもなっているRetroFocusです。
このRetroFocusのレンズは他にも28mmがあります。Type R1のRはレトロフォーカスのRです。
昔はコンピュータで設計できなかったよね
すごく考えて作られていたんだね
Angenieux RetroFocus 35mm F2.5 Type R1
横からの写真 どのマウントも見た目は変わりません
わたしが所有しているのはM42マウントでフォーカスがメートル表記です
フィルターは52.5mmで合わないため変換アダプターをつけています
最初のレトロフォーカス(逆望遠)
レンズ構成を見ると最初に大きな凹レンズが入り、少し間をあけて後のレンズにつながります。この大きな凹レンズがあることによりレトロフォーカスが成立しています。
通常凸レンズを用いて光が収束するようにしていきます。しかし焦点距離が短い場合は像をフィルムに作るために後端のレンズを大きく後ろに出さなければなりません。それではレンズとミラーが干渉してしまいます。
そこで最初に凹レンズを入れることで実際の焦点距離よりも光の集まりを遠くにすることにしたのがレトロフォーカスです。
望遠レンズは焦点距離よりもレンズをなるべく短くするために最初に凸レンズを配置して後ろに凹レンズを配置する構成です。それとは逆の構成になっているため逆望遠といわれます。
レトロフォーカスとは焦点=フォーカスをレトロ=後退させるという意味です。古いといった意味ではありません。ちなみにフランスではレトロフォーカスではなく「レトロフォキュ」となるようです。ちょっとかわいいですね。
どんなレンズに使われているのかな
今の広角レンズはこの方式だよ
最初に大きな凹レンズ(凹メニスカスレンズ)
間に凸レンズが入り後端は3群4枚のテッサー形式です
不思議な写りは2番目の凸レンズに秘密があるようです
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ゴミを宝石に変える
アンジェニューのレンズは「ゴミを宝石に変える」といわれています。
アンジェニューのレンズRetroFocus 35mm F2.5 Type R1、RetroFocus 28mm F3.5 Type R11は少し変わった写りをします。
アンジェニューレトロフォーカスの写りの特徴
○ 絞るととても解像度が高い写りをする
○ コントラストが低くやわらかい写り
代表的な例として開放F値での撮影の時に青白い光がでることです。これだけでも驚くような写りになります。赤が薄い朱色に写るなど独特の表現になりゴミを宝石に変えるといわれるひとつです。絞りの変化で軟調な写りから高解像な写りまで多彩な表現ができるのも評価が高い理由です。
コントラストが低くて幻想的だね
日差しが強い時の開放での撮影はほんとうにすてきな写真だよ
FUJIFILM X-T1 と Angenieux RetroFocus 35mm F2.5 Type R1 で撮影
ISO200 F2.5 1/180秒 青白い光を目立たせるためトリミングしています
東京ディズニーランド ファンタジーランドの白雪姫のグロット
F2.5で撮影 被写体のまわりに青白い光が集まります
フィルムカメラ Wirgin EDIXA REFLEX と Angenieux RetroFocus 35mm F2.5 Type R1 で撮影
ディズニーシー アラビアンコースト ジャスミンのフライングカーペット
赤い色が薄めの朱色に写ります
日本の光学メーカーとのつながり
アンジェニューは1980年後半から1990年前半に28-70mm F2.6というレンズを発売していました。これは日本のTOKINAが製造して提供していたレンズです。
そして日本でもアンジェニュー名のレンズではなくTOKINA名のレンズですが「AT-X 270 AF」というレンズが発売されていました。このレンズはF2.8となっていますが実際はF2.6-F2.8のレンズとのことです。
これは今は閉鎖されていますがTOKINAのサイトPicTavernでも紹介されていました。その後光学系はそのままにフォーカスクラッチが採用された「AT-X 270 AF PRO」になっています。
フィルム用のレンズのため逆光などは苦手ですがアンジェニューの写りを楽しめるレンズです。
今でもTOKINAのレンズはすごくいいよね
このレンズは中古で安く手に入るからうれしいね
アンジェニューから発売されたレンズと見た目は違います
TOKINAのズームレンズ どちらも中古でしか手に入りません
左 AT-X 270 AF 右 AT-X 270 AF PRO
AT-X 270 AF PROのほうがMFの操作がしやすいです
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まとめ
アンジェニューとRetroFocus 35mm F2.5 Type R1のご紹介いかがでしたでしょうか?
写りについては開放F値では合焦点のまわりにふわっと青白い光があらわれることとコントラストが低く軟調な写りをすることでゴミを宝石に変えるといわれます。
レンズではなくアンジェニュー自体は広角レンズのミラー干渉を回避できるレトロフォーカスの開発をしました。レンズ名にもなっているレトロフォーカスはレンズ構成の名称としても使われています。
今回は触れていませんが動画のレンズではズームレンズの初期開発をしたこともすごいところです。
昔のアンジェニューのレンズは中古市場でもとても人気があり高い価格で取引されています。そして古いレンズのため状態が悪いものも多いため手に入れるのも大変です。M42マウント、エキザクタマウント、アルパマウント、ライカLマウントがありますがマウントによっては¥200,000以上の値がつけられています。
もし欲しい時は長い時間をかけてよい出物を待つしかなさそうです。
それでもアンジェニューの写りを試したいならTOKINAの「AT-X 28-70 F2.8 AF」「AT-X 270 AF」「AT-X 270 AF PRO」は光学がアンジェニューに提供したものと同じため今でも味わうことができます。
今の広角レンズの構成の基礎となったメーカーです。興味がありましたらその写りを試してみてください。
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